What art thou then? I cannot guess;
But tho' I seem in star and flower
To feel thee some diffusive power,
I do not therefore love thee less:
本書の原型、第一部(第一章~第五章)に相当する部分の初出は2014年の年始に遡る。
艦これのサービスインが2013年春。事前登録はしていなかったが、サーバに名前が付く前の世代にあたる(開始が遅れて震電改を取り損ねたのは返す返すも悔やまれる)。いわゆる横鎮元帥の端くれだった。
それからあれよあれよという間に盛り上がり、興が乗って書き上げた。
ほぼ1~2週ごとに自サイトに掲載、ひと区切りついたのが2014年2月初旬。
当時はまだまだ牧歌的な空気があって、公式イラストレーターが二次創作作品の紹介やRTをしていた頃だ。
この作品も、羽黒ちゃんの産みの親であるところのbobお義父さんに読んで頂いたことがある。( ̄^ ̄)
その後、半年ほど後に改稿。
この頃は報酬が貰える程度のランキングを維持していたのでプレイに喰われる時間が半端ではなく、2015年の正月、第二部の冒頭に当たる部分を書いたあたりで一端執筆が頓挫することになる。
そして、2016年8月31日。
私は艦これを辞めた。
理由はただひとつ。『ALL甲でクリアしたのにアクィラと伊26が手に入らなかった』から。
(物には限度があるとはいえ)やるからには徹底的にやりたかった。
500位ギリギリとはいえランキング報酬は極力取ったし、新任務は全て達成、毎月EOは全て撃破、イベントはALL甲でクリアし、勲章の数は理論上限。艦娘もほぼ全て集めていた(思想信条により満潮と霞だけは改にせず、特殊任務以外では使用もしなかったが)。
イベントの難度が上がって事前の備蓄なしではさすがに厳しくなってきたため、ランキングと元帥位の維持は諦めたが、それでも任務と勲章、イベントを完遂することには自負があった。
それが破綻した。
ALL甲でクリアした。甲難度のまま周回もした。17出撃に1度という忍従の末に最終ボスS勝利だって何回か取りもした。イベント終了である1100時前、最期の最後まで、諦めはしなかった。
そこまでやって、ドロップ艦が出ない。この理不尽に、耐えられなかった。
TLに流れる「丙掘り」「難易度リセット」「マターリ」「お迎え」という単語に殺意すら覚えた。
自分なりに真摯にこのゲームに向き合ってきた、その報いがこれか。
この時、自分の中で何かが切れた。
以来、二度と艦これにログインすることはなかった。
最後に一艦だけ編成した、第1艦隊旗艦にして秘書艦たる羽黒が、今も何処かの誰かの演習相手を務めているのかも知れない。それを思うと心は痛むが、何もしてやることはできない。
司令官はこのイベントで敗死したのだ。
その供養も兼ねて、執筆を再開した。ゲームがつまらなくても、那珂ちゃんのことが嫌いになったわけではない。
折しも当時知己を得たターレットファイター氏が作品に目を留め、「続きを読みたい」と言ってくれたことも後押しとなった。
こうして、2016年末には全四部、十七章にわたる本書の原稿が完成した。
当初は自サイトへの掲載だけで完結としていたが、ターレットファイター氏に「こういう切り口の作品は見たことがないので、本にしてみませんか? 委託受けますよ」と誘われ、験しにC91にて第一部をコピー本として委託。十余部ほども手に取って頂けたという。
これを受けて同氏は言った。
「きちんとした本にして出してみませんか? 委託受けますよ」
ときに、2017年年始。
こうして本書の制作は始まったのである。
本書の執筆環境を紹介しよう。
2016年夏新造の自作機。あまりスペックを並べても仕方ないが、物書きにとって重要な点は次のとおり。
デスクトップPCの環境が最強に強まっているから、ポメラなんか別に要らないのでは?
……そう思っていた時期が私にもありました。
調べ物も一通り終え、とにかく「書く」段階になった時、デスクトップPCにはあまりにも誘惑が多すぎるのだ。(´Д`;)
「テキストを書く」以外の全ての機能を削ぎ落とし(いや、辞書とかあるけど使わんし……(´・ω・`))、乾電池で24時間以上駆動するストイックなデバイス。これとミュージックプレイヤーだけを携えてファミレスに籠もるという荒行によって、本書後半のかなりの部分が書き起こされた。
とにかく集中してモノを書きたい方、アウトプットの効率に悩みを抱えている方は是非験してみてほしい。
主に校正の段階で、iPad2はベッドの中でのごろ寝チェックに、iPhone6Plusは移動中にPDFビューアとして使用。
イベント迫る6月末に導入。
導入時点で本書は既に完成していたが、老朽化したMacbookAir(Mid 2011)の後継としてモバイル環境を担い、特設ページの編集や各種宣伝に使用。イベント直前の7月末に二週間に及ぶ入院生活を余儀なくされた際には存分に活躍した。
また、イベント当日はサイネージとしてプロモーションムービーを流していた(イベントの最初から最後まで動画を再生し続けて、まだバッテリが半分残っていた。すごい!)。
なお、純正アクセサリのTypeCoverやSurfaceペンは高価すぎて買えていない(´Д`;)
定番のテキストエディタ。シェアウェアだが減価償却など前世紀のうちに終えている。
原稿執筆からサイト編集(のちにAtomへ移行)まで、テキストベースの処理で最も恃みとするソフト。
日本語変換システム。クラウドでの辞書同期、データのエクスポートなどを組み合わせ、PC/Mac/Surface/DM100全ての環境でほぼ同等の日本語入力環境を整えることができる。使用デバイスが多い人には有り難い(人によってはGoogleIMEで間に合うかもしれないが)。
アウトラインプロセッサ。当初Macで使っていたが、後にWindows主体に移行。ただ、癪なことにソフトのバージョンはMacの方が進んでいる。
原稿、設定、ネタなど、ありとあらゆるものを放り込み、整理して作品を書き上げることができる。元が英語版なので癖があるが、使いこなせば強力なツール。プロの作家も使っていたりする。
Webサイト掲載時までの組版/PDF出力に使用。
縦書き・横書き両対応を謳っていた時期があり、ローカルルールでマークアップしたテキストをそれぞれスクリプトでTeXに変換、TeXからPDFを生成、という流れで制作していた。
原稿を流し込んで自動処理するぶんには都合が良いが、細かい部分で融通を利かせようとすると難易度が跳ね上がるのが厄介なところ。
この作業フローが生きていた頃であればePUB対応も不可能ではなかったろうが、印刷向けにInDesignで組版してしまった(メタデータと組版情報が融合してしまった)ので、もうこちら側には戻れない。残念。
本書組版に使用。
PBMプレイヤー時代にPageMakerを使っていたが、買収のち廃盤になり、仕方なく乗り換えた過去が。
アップグレードのAdobe税を納める余裕もCCを契約する甲斐性もなく、当時のバージョンのまま。PBM牢人化と共に永らく放置されていたが、このたび急遽発掘・復帰の運びとなった。いやあ、使い方忘れた忘れた。
それでも出力したPDF/X-1aフォーマットのPDFは、印刷会社のチェックを一発でクリアした。
『艦娘って、なんだろう?』
この単純な疑問が、本書の根源にある。
公式サイドはそこに明確な答えを用意しない。『軍艦の記憶を持つ少女』とされる『彼女達』が、正体不明の深海棲艦と戦う。それが公式の提示する世界観の全てだ。
当然、疑問を抱く。
『少女が海面を走る』。絵面はともかく、それで戦争になるのか。
少女の視点で海面に立てば、地球の方を弄りでもしない限り水平線までは4kmそこら。歩兵か、せいぜい戦車の戦闘距離で、戦艦だ駆逐艦だといった艦種分けが意味を持つのか? 巡洋艦娘が身体に貼り付けた主砲より、駆逐艦娘が構える主砲のほうがどう見ても大きくて強そうなのをどう説明すればいい? 補給は? 航続距離は? 睡眠は? きりがない。
それら一つ一つを解釈し直し、自分なりの答えを積み上げたとき、辿り着いた答えは「水上スキー方式との訣別」だった。
擬人化というコンセプトは分かる。
しかし、自分の体験、すなわち総火演や観艦式、自衛隊施設や在日米軍、寄港する各国軍艦の見学で触れた『兵器』というものの圧倒的な『力』、そして『戦争』を遂行する単位と少女を単純にイコールで結びつける解釈を自分の中では組み立てられなかった。だから、『艦を操る』という概念、通りの良い表現を用いれば『船魂』『メンタルモデル』として知られている形態に落ち着くことになった。
さて、『少女が艦を操る』としたとして、その優位性はどこにあるのか。
人類が操る軍艦と艦娘が操る艦。スケールを揃えたことで両者は同じ土俵に立っている。では、両者の何処に違いがあって、何故人類は深海棲艦に勝てず、何故艦娘は深海棲艦に抗しうるのか?
その理由を、ソフト、ハードの両面から考察し、設定を考える。
ハード面では、「『妖精さん』の手になる艦」の特異性を設定した。
原子アセンブラで組んだような、理論値そのままの精度で、ほぼ一体成形された艦体と艤装。原型となった艦を模してはいても、その精度と強度で人類の手になる艦を圧倒する、とした。理論値(設計図)通りに生成された機関の出力や静粛性は言うに及ばず、材質面でも一体成形かつ傾斜材料をなす。人類艦と比較したときのマージンは構造強化に振っても良いし、軽量化に振ってもいい。兵員を要しないから、兵員室や舷窓も必要ない。
その一方で、材質はあくまで人類既知の鉄系材料とし、『ナノマテリアル』で煙に巻くことは避けた。そのレベルで差を付けてしまうと、人類が艦娘にも深海棲艦にも抗し得なくなってしまい、その力関係が面白くなくなってしまうという判断による。いかに精密でも、強力でも、弾が当たれば傷つき、沈む存在であることに意味があると考えた。
ソフト面では、「少女が操る」という点を最大限に敷衍した。
身に付けた艤装を「インターフェース」と規定することで『艦』と『娘』を繋ぐバッファ、公式ヴィジュアルとの整合性を取るエクスキューズとする。艤装を通じて感覚し、意思と艤装が直結されているから、情報処理と反応速度は人類艦の比ではない。こと戦闘能力に関してはこれだけでも相当な違いになると思うが、その一方で『戦術』以上の思考については『経験』が必要であるとした。唯一、人類が艦娘や深海棲艦に抗しうる要素であり、『提督』が艦娘を指揮する理由のひとつだ。
第三世代MBTやCIWSをはるかに超える精妙な射撃管制能力。艦全体に配置された探知設備、火器、通信設備を一手に把握し、意のままに運用する処理能力。これを前述のハードと組み合わせたとき、艦娘は超常の兵器となる。
ここまで考えたところで、ひとつのモチーフに辿り着く。
少女となった艦、すなわち「ヒトではない」存在にして、超常の処理能力をもつ存在、永野護『Five Star Stories』(以下FSS)のファティマだ。
「ヒトではない」一方で「人間そのもの」である彼女達の悲哀と儚さ、健気さ、時として怖ろしさ。このイメージは自分の考える世界観にピタリと嵌まるものであった。
つまり、自分の考える『艦娘』とは"FATIMATIC WARSHIP"であり、艦体がMH、艦娘がファティマ、そして『提督』はヘッドライナーであると整理することができる。人類軍はMHに対する通常兵器。それなしで戦争はできないが、戦場で相対すれば圧倒的な力の差を見せつけられる存在だ(さすがにMH対空中戦車ほど分は悪くないが)。
深海棲艦は艦娘と対置される存在であるから、基本的に艦娘に準じた優位性をもつと考えれば良い。より生物的なテイストを与えたが、これは「コズミックウォーズ」における人類軍とバクテリアンの違いのようなものだ。
そして、艦娘と深海棲艦の関係性について。
本質的に両者は同じものである、とした。両者を分けるのは顕界する際のヒトに対するベクトルの違いに過ぎない。
それは、ある意味で「ヒトに対するモノの叛逆」でもある。
ヒトとモノの境界をなぞりながら『艦娘って、なんだろう?』と思い悩む。それを本書のテーマと位置づけるため、アニメ版アルペジオのエンディングをエピグラフに引用した。すなわち、
では、何故、何のために『彼女達』はこの世界に現れたのか? それは作中で語るとしよう。
ここからは各シーンごとのウラ話、ネタ元などを解説していく。
深海棲艦と人類の初めての接触。あるいは世界改変のはじまり。
誰もが知る豪華客船の悲劇的な事故、後に映画化され、「あ、いま船尾から落ちてスクリューに当たった奴いい音したな」とか「勢い余って乗客を射殺してしまい即座に自決する航海士健気」とか「『正装して死ぬ』グッゲンハイム卿漢やのう」とか、そんな斜めの感想ばかり抱くことになるあの事件と深海棲艦を結びつけ、歴史の歯車を組み替え(狂わせ)ていく。
ペナン沖海戦をイメージした、喪失と新生の一幕。
羽黒視点とし、「何故自分はここにいるのか」という疑問を提示するシーン。
艦娘と対になるヒト側の主人公、友永幸志郎中佐の登場シーン。キャラクタの造形には武勲艦の艦長にして生粋の駆逐艦乗り、吉川潔中佐と、PBMプレイヤー時代の戦争ゲームで朋友であった方の一族からイメージを拝借している。
人類vs深海棲艦の異質な戦闘を描く試みでもある。
特にこだわったのは水中衝撃波の描写。観艦式で対潜爆弾の実演があったとき、たかだか150Kg、万が一にも危害のない場所での爆発にも関わらず、水柱が上がってから時間を置いて、確かに衝撃が艦体を通して足裏に伝わった。この実感をどうにかして表現したかった。
それにしても、天霧、狭霧が実装される前に発行できて良かった……
試問のシーンはギャグと見せて、『妖精さん』を視ることができるかという艦娘との親和性を見るためのもの。
建造シーンは儀式的要素を採り入れることで、少しオカルティックにした。後に、この神職集団に宮内省の関係者の関与が示唆されるシーンがある。
この世界での『艦娘』についてのインストラクション。『お子様云うな!』とのたまうお子様とはいったい何処の特III型のことだろうか……?
ゲームにおける『建造』の再解釈。兵器の開発を統合し、『建造失敗』が起こりうることを提示。
羽黒と人類のファーストコンタクトを視点を替えて再演。
エヴァままのタイトル。イメージが近しかったので。
建造の完了。艦体の仕様は史実の改装前に準ずるものとした(雷装は最初から93式としたので、厳密ではないが)。
書類で動く軍隊の雰囲気を出すため、国立公文書館アジア歴史資料センター(以後アジ歴)で類似の命令書を探し出して引用している。
出港のときからわかる『艦娘』の常識外れ具合の描写。
出港の際の針路は海図で割り出しながら書いていた。
また、大日本帝国と日本皇国の違いについても触れている。簡単にいえば、海洋の事実上喪失によって皇国は大陸への進出もままならず、史実で起こった各種の事変もその殆どが未発・不発に終わっている。そのため、幸か不幸か日本皇国は何処とも戦争をすることができず、また三国同盟も締結されなかった。
艦船公試の描写。
妙高型のカタログスペックよりもわずかに高い値を意図的に出して艦娘の性能的優位を表現している。
本書のテーマのひとつ、「ヒトとモノの関わり」について。
あくまでも運用の責任はヒトが負わねばならない、とする考えは、長谷敏司「BEATLESS」におけるレイシアの『責任を、とってください』という台詞へのオマージュでもある。
艦娘vs深海棲艦の初めての戦闘。
超常的な艦娘の戦闘能力と、人類の戦術的経験の蓄積が噛み合って掴む初勝利。
実は初出時にはなかったシーンで、改稿時に追加された。
前原巧海の元ネタは郷土の発明家(技術者?)前原巧山から。
第三者の視点として前原の視点を追加することで描けるものが増えたことは確かで、構成上の評価を頂いたことがある。
艦娘についての解説をより詳細に補うシーンでもある。
また、16インチ砲搭載戦艦が世界に二隻しかないという描写は、ワシントン海軍軍縮条約の結果が史実とは異なり、日本の『ムツ』や英のネルソン級などが建造されなかったことを意味し、この時点で人類世界が疲弊の度を深めていたことを示唆している。
第二部は仲間が増え、部隊としての体を整えていく過程での羽黒の心情の変化を描くパート。
部隊名は実験部隊、機密部隊ということで、勿体付けた名称は付けず、常から外れたナンバリングのみとした。
番号はPBMプレイヤー時代に使っていた屋号のようなものを密かに使っただけだったのだが、最期の最後で奇妙な符合を見せることになる。
新たに加入する艦は深雪。快活で陽性の性格を羽黒と対照させたかったこと、早々に事故で失われており、史実ネタでボロを出す可能性が低かろう(ヒドス)というのが選定理由。
戦闘そのものはオマケに近く、深雪と電の衝突事故ネタを絡めたコメディ。最後の「深雪様バンザイ」はFMJと平野耕太『ドリフターズ』の「源氏バンザイ」のミックス。
艦娘達の会話を実現するために妖精通信(仮称)の一幕が登場するが、元ネタは映画『M.I.B.2』で、郵便局の自動仕分け機を開けると中に宇宙人が入っていて機械じみた速度で仕分けをしているという一幕から。
『艦娘とはなにか』を、羽黒と仲間の視点を対比させながら問うシーン。仲間が増えるたび、この問いを重ねていくことになる。
木曾が加入。
諸々の事情で叶わなかったが、木曾の壁ドンは是非とも挿絵化したいシーンであった。(´・ω・`)
木曾の性格付けは単純明快な戦闘馬鹿で厨二病の気アリということで、相手の技をドヤ顔しながら捌き合う千年不敗の古武術まんがのネタを織り交ぜてある。眼帯のネタはその外伝の柳生十兵衛から。
第三部への布石。
パターン化を避けたかったので、戦闘には極力新たな要素を加えたかった。
木曾が某青い巨星みたいなことを云っているのは、まあ厨二だから許してつかあさい。原作の台詞もあるよ。
海を観る友永と一言も発せずただ侍する羽黒というシーン、言葉がなくても確かにそこに交流があるのだということを描きたかったのだが、どうか。同時に、羽黒がただの可愛い女の子ではない、『戦場』と『死』を識る存在であることも表現してみたかった。
木曾の艦娘観は実に単純明快で作者も助かる。
少し時間を進め、部隊としての活動が軌道に乗ってきた描写。
木曾の修理と「新型だ、いいだろう」は、パトレイバーの太田機(壊しすぎで純正部品が底を突いたので頭部が替わった)のパロディ。ダブルカーブ型艦首は神通などが採用している。
『他の艦娘部隊』として那智と本郷が登場。
本郷の造形は友永の裏返しで、洒脱で華やかな「いかにも」な海軍将校。特にモデルはない。
姉妹の再会で互いの認識に識別符号が出てくるのは、艦娘流の名札のようなもの。妖精さんが何かしてるのかもしれない。
本郷と友永の会話では、『艦娘はモノなのか、ヒトなのか』という問いに対する人間側の葛藤を描く。
一部なちはぐって云われたけど、正直百合とかカップリングとかはよくわからない。
いわゆるイベント海域のイメージ。
イベント海域のボス面。
舞台が黄海ということで、ボスキャラのイメージは定遠級戦艦。歪な配置の主砲と衝角を備えるという特徴を再現。巨大だが鈍足。
章題は軍歌『勇敢なる水兵』から。
候補には挙がっていたけど、中破シーンの挿絵化は見送り。残念でした!(・∀・)
「本筋だけでは窮屈。息抜きのダレ場が必要」という助言に基づいて追加したシーンのひとつ。
軍刀に関する四方山話は一月だけプレイした刀剣乱舞で再燃した日本刀熱の残滓。古刀や太刀、昭和刀や新新刀について色々調べたりもした。興亜一心刀(いわゆる満鉄刀)の製法が鉄道部品の応用(と思われる)だったりと、色々面白い。
ウイスキーのネタは那智に合わせて。あと自分の趣味。取材と称してブキャナンの18年とレッドシールを買い込んでみたり。
原作では達磨達磨と連呼する那智だが、達磨(サントリーオールド)は戦中贅沢品として発売禁止とされ、流通するようになったのは戦後のはず。角瓶の間違いではないか? ……と思ったのだが、軍用としては一部出回っていたらしいので、一概に間違いと決めつけることはできないと思われる。ただ、角瓶がポピュラーだったのは間違いなく、さまざまな回想録に登場する。
章扉のネタは旧支配者。最近妙にリバイバルしてきたねクトゥルフ。
キンメルが査問にかけられていることで、アメリカ太平洋艦隊が真珠湾並み、あるいはそれ以上の大打撃を受けていることを示唆している。
史実のイベントから。史実では過激発言で当初の交渉団長から外された小磯国昭を登場させている。
文中で小磯が歌っているのは得意としていたとされる白頭山節の二番。節回しが分からなかったので、Youtubeの音源を聞きながら書き起こした。
人類vs深海棲艦。
世の中にはめんどくさいマニアが多いので、英軍風の描写にはびびりがちであった(それでも不安は尽きない)。嘘だと思ったら射撃号令の"Shoot"を"Fire"と書いてみるといい。英軍警察がすっ飛んですること請け合いだ。ウォースパイト? 知らない子ですね。
フィリップスの最期の言葉"No, Thank you."は俗説であるとの説が現在有力なので、俗説が歴史に刻まれる過程として描いた。
能力はともかく戦闘の展開が単調になるのを避けるため、改二改装。ヴィジュアル面も大幅強化。
羽黒をほぼフルスペック(ただし、皇国が1940年頃をモデルにしているため、電探をオミットしている。そうしないとリバースエンジニアリングだ何だと面倒臭い話に流れかねない)に、木曾を重雷装仕様(史実の北上に準拠)とした。
バルジはタンクに転用して油を充填したり鋼管や空き瓶を詰め込んだりして緩衝と浮力維持の足しにするが、前原が驚嘆していた『艦娘』のバルジは、装甲材と同じ材質の傾斜材料で内部は発泡構造の一体成形という、原子アセンブラでも持ち出さないと製造できないような出鱈目な代物。妖精さんすげぇ。
特設空母(お前のような特設空母がいるか!)、隼鷹登場。
陰陽術系の艦娘であるため、主に真言でそれを表現することにした。弓道系の艦娘は本作には登場しないが、どう描くかについてはちゃんと考えてあった(無論、アニメ版とは違う)。
この真言、サンスクリットの読みをKH方式(Harvard-Kyoto Convention)に読み替え、変換サイトでフォントに換字後アウトライン化して組版、というえらい手間をかけて組み込んでいる。すなわち、文中の不動明王小咒を例に取れば次のようになる。
ちなみに作中の真言はすべて存在するものであり(ただし、読み替えの過程で誤字ってる可能性は否定しきれない;)、万が一にも本書を「自分が書いた」などと詐称する痴れ者が現れた場合は、「隼鷹が作中で用いた真言を全て答えよ」と質問してみてほしい。梵字が読めて真言が分かるアークボンズみたいな相手でない限り、九分九厘化けの皮が剥がれるはずだ(笑)。
隼鷹の『戦う理由』、そしてワルツを踊る一幕は我ながらイケメン度高いと思います(ドヤァ)。挿絵が美しい。
資源還送船団護衛作戦、『Y企画』。
名前はいわゆる『ヤマト計画』のパロだが、一捻りして大昔にパソコン通信時代にやっていたヤマトを題材としたTRPGぽいゲームの名前から取った。秘匿呼称なんて訳が分からないくらいの方が良いのだ。
PT小鬼襲来から始まる夜戦。
ここでの戦いぶりから、羽黒自身も充分に経験を積んだ歴戦の艦娘になりつつあるという成長を描いた。
木曾の「動きに優雅さがねェ」という台詞は、FSSでエトラムル制御のMHを評したソープの言葉のパロディ。艦娘と人類艦の違いをミもフタもなく評している。
ABDA諸国の思惑と陰謀。各国ごとに深海棲艦の呼称が違うところに注目。
アメリカアジア艦隊の陰謀には作戦のコンセプトから「オペレーション・ナウシカ」と名付ける案もあったのだが、くどいので却下。章題にその名残(漫画版の用語)がある。
『ジョン・ヨルト』のネタは某国際エコテロリストの抗議船、ナントカ三世号の前身であるノルウェーの漁業調査船"Johan Hjort"の英語読み。船長のモデルは……お察し下さいw 『彼等』をこのような工作に従事させる描写自体、痛烈な皮肉である。
木曾の長距離雷撃はゲームで『雷巡』『雷巡』と便利使いされる重雷装巡洋艦の本来の運用を想像しながら書いた。丸のムックかなにかで読んだところでは、重雷装巡洋艦の魚雷発射管は正側まで回らないため、駆逐艦と違って前方に向かって雷撃を行うのだとか。40射線の93式魚雷を乾坤一擲の一撃として運用するとすれば……という想像。でもこれ人類の運用では無理だろ。
友永の台詞「よろしくないわけがあるものか。断然攻撃あるのみだ。粉砕してやる」は、佐藤大輔『皇国の守護者』のオマージュ。
そして、棲姫級の深海棲艦の登場。ヒトに対する怨嗟を露わにすると共に、羽黒との相似を提示する。
章扉に何故この童歌が? と首を傾げた方も多いと思う。ネタバレは楽屋にて。
「展開がやや駆け足」というご指摘があったが、前三パートに比してこのパートでの動きが急であるためであろう。
幕間のシーンを追加していなければもっと酷いことになっていたところだが、これ以上付け加えるべきところを見出せなかったのもまた事実。
『東京急行』のモデルはソ連の領空侵犯……ではなく、『トップをねらえ!2』第三話に登場する『宇宙怪獣』の集団から。
『深海棲艦』とはなんとなく「海溝から這い上がってでもきたんじゃないのか」というイメージからのネーミングだが、人類がその真相を知る術はなく、日本皇国ローカルのネーミングとしている。
作中では触れていないが、深海棲艦には各地に襲来する小集団のほか、東京急行のように一定コースを回遊するもの、特定の海域にコロニーを作るものがある。太平洋における最大のコロニーは、現代で「ゴミベルト」と呼ばれる海流の吹き溜まりのようなエリア。
『トップをねらえ!』第五話のパロディであるから、巡り巡って怪獣映画のパロディでもあるはず。天皇陛下を持ち出すくだりは『203高地』とか『坂の上の雲』とかそのあたり。
「高射砲弾の破片で何某が壊れた」というのは映画『この世界の片隅に』の描写から。
『死して護国の鬼となるを無上の喜びとすべし』は佐藤大輔『皇国の守護者』の守原大将。上層部は基本的に無能。
「溟号作戦」「溟弐号作戦」はいわゆる『メ号作戦』であり、『ヤマト』ネタ。
『Y企画』では「ナカ」だった護衛艦が旧式の「テンリュウ」に差し替えられていることから、溟弐号作戦の準備がY号船団に皺寄せを及ぼしていることが暗示されている。
『那智』喪失のシーン。
心苦しくはあるが、構成上、那智が沈むことは最初から決めていた。
沈んだはずの『那智』が新造艦として現れる謎。
システム的には「轟沈した艦娘と同じ物がたまたま建造で出て来た」ということになる。
つまり、この世界とはゲームなのか? という疑問を抱いた方は鋭い。
本郷と那智のシーン、インスピレーションはFSSのカイエンとアウクソーのエピソードから得たもの。最後に那智があるはずのない記憶の残滓を感覚するところに、僅かな『救い』の要素を与えている(つもり)。
挿絵では「絶望感の強調」をとくにお願いしたところ。羽黒の台詞はもちろん大破時の引用。
『死』を識ってはいても、未知の『新生』というものを突き付けられて絶望する羽黒。
一度戦線を離脱させて、事態を容赦なく進めていく。
溟弐号作戦の展開。聯合艦隊vs深海棲艦の第二ラウンドともいえる戦いを脇役の立場から概観する。
ゲームでいう後段作戦。「ちょ、おまwww」なシチュエーションを忠実に再現(`・ω・´)
大半の艦が『札付き』すなわち他方面に出張っている状態で、別働隊の首都圏侵攻を阻むことはできるのか。
某傭兵部隊を彷彿とさせる『妖精さん』達の奮戦ぶりにもご注目頂きたい。
最終決戦。
能力、経験、その全てをもって挑む羽黒。相手の砲声だけで諸元を割り出すのはFSSでメイユ・スカのファティマ、リンザがやっている。
『棲姫』と羽黒が本質的には「同じもの」であるという事実。両者を分かつのは『ヒトへの想い』であることを示す。
『羽黒』の残骸が違法サルベージの被害に遭っているのは現実に報道もされている事実で、盗掘にも等しい行為である(犯人が中国人であるかどうかまでは特定されていないが、「奴等ならやるさ」とも思う)。冒涜者に呪いあれ。
ネタバレ楽屋。
メタな単語を並べ立てる悪趣味な『メルヘンの使者』は六道神士「Holy Brownie」から。
整理してぶっちゃけると、この『ゲーム』は対抗する二者がそれぞれの駒を『世界』に送り込んでその展開を競う遊戯。いうなれば軍艦版『ドリフターズ』なのだ。『彼等』が送り込む『漂流者』と『廃棄物』とは、艦娘と深海棲艦そのものである。
「螺子一本にも記憶は宿る。歯車とてヒトを恨むのだ」は、山口貴由『シグルイ』の「内臓にも記憶は宿る。筋肉とて人を恨むのだ」より。
艦娘も深海棲艦も、アカシックレコードを基にした模倣子からつくられる、とあるが、これは本作の世界観が艦これに限らず兵器擬人化ゲーム(戦艦少女、あくしず戦姫、ビクトリーベルズ、etc...)の概念を包含するという考え方による。
艤装を『高次物質化端末』(Materialized Interface)と表現したのは、舞HiMEプロジェクト(主に舞乙HiME)のオマージュ。
「モノとヒトの関わり」をテーマに据えたのは長谷敏司「BEATLESS」のオマージュではあったのだが、「モノにはこころがない」というところまで徹底しきれなかったのは我が身の未熟と反省している。
このシーンのイメージは最初からあったし、ここに到るために物語を積み上げてきたといってもいい。
その根源はbobお義父さんの手がけた『妙高型四姉妹 暁の水平線』であり、本書のタイトル自体そのオマージュであるといえる。
傷つきながらも『帰る』ことのできた羽黒の幸せを祈って【完】の字をタイプ。
「挿絵の一枚はラストシーン」ということも決めていた。
テニスン『In Memoriam A.H.H.』第130章第2節から。部隊番号との符号はまったくの偶然。
対訳によれば、
君がいったい何者なのか私にはわからない。
星影に、花の象(かたち)にゆきわたる力を
感じるような心地はするが、
いよいよ懐かしさの募る君の姿。
本来は亡き親友追慕の詩ではあるが、これをヒトからのメッセージと位置づけてエピグラフと対置することにした。
挿絵と見開きになるようになっているので、イメージを新たに眺めてみて頂けると嬉しい。原文の韻律の美しさなどは字面からも読み取れる。
ここではイラストレーションに関わる顛末を。
ご存じの通り、本書のイラストは、たん(twitter:@tangented_)さんに手がけて頂いた。今回が初めてのご縁であるが、素晴らしい仕事をして頂いた。本書が何某かの成功を収めたとするならば、その九割くらいはたんさんのお陰であるといっていい。
本書制作に当たっては、当初からイラストが生命線になると考えていた。
実績ゼロ、知名度ゼロの作者が発行する小説である。多少のジャンル効果はあるとはいえ、それだけで認知を得て手に取って頂けるかというと、その可能性は高くないとみていい。
読んで初めて善し悪しがわかるはずの小説が手に取ってもらえない、つまり土俵にさえ上がれないことへのジレンマは、小説を書く方には実感できるのではないだろうか。
であるからには、手に取って少なくとも一読、できることなら表紙買いして頂けるレベルのイラストが必要不可欠となる。宣伝を打つにしても、そのフックがなければ話にならないから、どのみちイラストが必要だ。
では、いかにしてイラストレーターさんの選定と交渉を行ったか。
……これが実に単純で、pixiv(非プレミアム)による虱潰し捜索である。
「おすすめ作品」を見る。もっと見る。さらに見る。
自らの嗜好を信じ、ハートに「ギムッ」と来た絵を抽出する。ただひたすらに。
タグ検索などは敢えて使わなかった。特定のお題ではなく、絵柄全体を判断したかったからだ。
抽出した絵を、さらに好みの順に並べる。
ここまで出来たら、作者さんのプロフィールを一点ずつ見て、同人誌の依頼を受けて頂けそうかを判断する。
併せて、過去の作品や個人サイトをチェックし、絵柄や嗜好に関する情報を集める。これに二週間くらいかけた。
こうして作り上げたリストを基にして窓口にコンタクトし、依頼内容とご都合伺いの打診を行った。
応諾のお返事を頂いてからの詰めとして、本文を実際にご覧頂いて『この小説の挿絵』を描いて頂けるかをお伺いした。文章との相性だってありうるし、納得のいく依頼としてお請け頂きたいとも思っていたからだ。
幸いご快諾を頂き、イラストレーターさんの選定は決着した。二月頃のことだ。
挿絵そのものは前文で既に紹介しているが、シーンの選定は、たんさんに実際に本文を読んで頂いて『ヴィジュアル化したい』と思えたシーンを列挙、そこに事前に取り決めた五枠を割り当てるという方法を採っている。少しでもイラストと文章の親和性を高めるため、こうした意識合わせには気を遣った。
表紙についてはこちらからイメージを提示してイラスト化して頂くことになったのだが、「ラストシーンのイメージ」というだけではいささか弱い。イメージとしては最終決戦後、独り佇む羽黒といったところではあるが、なかなか良い喩えを思いつかない。『FSS一巻冒頭のブラック・グラードとエスト』というのもあったのだが、本が手許にない上にWebでも良いイメージを探し出せない。
そこで持ち出したイメージ画がこれだ。
これがこうなる。
……イラストレーターさんは偉大だ! なお、題字は別の知人にお願いした。
こうして本書のヴィジュアルが完成したわけだが、これだけでは終わらなかった。
なんと本書頒布当日の朝、サプライズで応援イラストをTLに投下してくださったのだ!
感涙に噎び泣きましたよ、ワタシは(´;ω;`)
というわけで、本書は幸せなご縁を得ることができた。あらためて感謝を捧げたい。
【結論】小説においてヴィジュアルは生命線。絵師との信頼関係を構築せよ。
構想倒れ、あるいは構成の都合で没になったシーンやネタをここで供養。
特に著作権をどうこうという世知辛い主張はしないので、これを見てインスピレーションが湧いたという方は是非将来の作品に活かして頂きたい。
ピンチに追い込まれた『羽黒』の艦橋で、必死に冷静さを保とうと煙草に火を付ける友永に、羽黒が「煙草はお身体に良くないと思いますっ!」と抗議。死線で健康の心配をするおかしみから生じた笑いが平静を取り戻すきっかけとなるシーン。
……などという展開を考えたのだが、当時の価値観で煙草をそこまで忌避するのもどうかと思ったので没。
前述のネタに絡め、友永が妻帯者であった(が、結核で亡くした。以来喫煙していなかった)ことを羽黒が本郷から聞くシーン。
ヒトと艦娘の関係を深める一助になればとは思ったのだが、『提督LOVE』要素を扱う予定がなく、冗長になるだけと判断して没。
艦娘によって息を吹き返した海軍に対し、立場が弱くなった陸軍の一部が激発して起こるクーデター。
雪の皇都で艦娘vs陸軍の市街戦が繰り広げられる。艤装での直接射撃から艦体を遠隔操作しての艦砲射撃までアリ。
首都での皇軍相撃を双方ギリギリまで避けながらも最後は(『鶴の一声』により)大激突になる、佐藤大輔風味(『皇国の守護者』+『宇宙軍陸戦隊』)で行けないかと思ったことがある。
政治状況(高官人事)のお膳立てがすさまじく面倒臭いのと、なんかもう色々収拾が付かなくなりそう(それだけで一冊になりそう)なので見送り。
海外にも少しずつ艦娘が生まれ始めたとしたらどうなるか。英米独伊あたりを想定しつつ検討。
ヘルシングっぽい英艦娘部隊、13課っぽい伊艦娘部隊、ナチっぽい独艦娘部隊、NERV北米支部っぽい米艦娘部隊といった感じ。『妖精さん』が介在するためか、各国とも、オカルトというか宗教的要素が結びついている(日本皇国も例外ではない)。
これまた紙幅が足りないのと、ビジュアル設定の収集・構築が面倒だったので見送り。
再建途上の米太平洋艦隊による深海棲艦への反攻。
切り札は艦娘『インディアナポリス』に搭載された『実験装置A』。
死兵としての任務遂行を求められる『インディアナポリス』の使命感、死生観などを対比させるのはどうかと思ったのだが、どうにも拡げた風呂敷の始末に困りそうだったので見送り。
史実ネタ。
艦娘の操艦技術で爆撃を回避し続ける隼鷹だったが、気付いてみると至近弾群の破片が下から船体を貫いて飛行甲板がおろし金のようになってしまい、発着艦不能となってしまう危機。
隼鷹が空襲されるシチュエーションが発生しなかったので没。
いわゆる弓道系艦娘。
『矢が航空機に変化する』というアニメ版解釈が使えないので独自解釈。
和弓を引く都合上、艦載機運用時には防空指揮所か甲板に出る。矢は放った直後に異空間に打ち込まれ、矢と弦音が艦載機に対するコマンドとして機能する。弓道で言えば巻藁射礼に近い。
ミソは弦音の活用で、かつて弓が神性を帯びた武器とされていたのは弦音に『魔を祓う』効果があったとされていたから。
正規空母艦娘が登場しなかったのでお蔵入り。
ネタバレ用シーンの別案。
混濁した羽黒の意識が『妖精さん』に連れられて記憶とメタ領域を彷徨う。『兎を追う』は映画『パシフィック・リム』での表現。
ちょっとオチを付けるのが難しくなったので没。