C93感想:「炯眼隊・燦」

イベントには行けなかったけど、なんとか入手出来た一冊。

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C93には参加出来なかった(とゆーか、C92に参加したことしかない)わけですが、地方の同人誌ショップに入荷してました。良い時代になったものです。

せっかく記事を書きやすくしたシステムを組んだことだし、感想など綴ってみることにします。今までは1ツイートで書き切る掟を自分に課していたのですが、ここなら字数無制限だ!


いち、仁、燦

本書は緑の六号(@toki_6g)さんの艦これ同人誌。シリーズ三作目だそうです。

期間限定で一冊目と二冊目を公開してくださっていたので、追いつくことが出来ました。ありがたや。

四冊目「志」が2018年刊行予定だとか。今から楽しみですが、まずはじっくりとここまでのお話を。


その艦娘、炯眼につき

『目つきが鋭くてめっぽう強い、四隻の艦娘がいるという』という語りで始まる本作。

凶状持ちとしか思えない凶悪さと、どこか弛緩とも倦怠ともつかない力の抜け具合が絶妙な、ひとことで言えば「やさぐれた」艦娘部隊。面子は叢雲、日向、球磨、伊19。

お話はここに新しく摩耶が加わるところから始まります。

練度の差も相俟って、摩耶様も色を失う慧眼隊の戦闘力。苛烈にしてどこか危うい、壊れかけのエンジンが全開になっているような闘いぶり。

何故彼女達はこうなのか。これから彼女達はどうなるのか。


みどころ

多分多くの方が喜んだことであろう、別シリーズとのクロスオーバー。「むっくん」と羽黒の登場。

小ネタを楽しみながらも俯瞰してみると、「新入り」である摩耶の視点と読者の視点を上手く合わせてストーリーを語りながら、摩耶自身も成長し、炯眼隊の面々と打ち解けていくという構成の妙に感じ入ります。僅かな台詞、仕草や擬音のひとつひとつにキャラクタの心の動きが感じられるのはお美事の一言。

それでいながら、敢えて「同艦対決」に踏み込む大胆さ。いわゆる悪堕ち、深海棲艦側になった映し身と対峙する話は多々あれど、『同キャラ対戦』までやってしまっている絵面はかえって新鮮。ブラック鎮守府など、艦これのゲーム要素が忠実に織り込まれている細やかさとも相俟って、想像を刺激し、物語の厚みを増しています。

原作に対しての守破離ともいうべきバランスの絶妙さ、二次創作というものの底力を感じました。


まとめ

原作に忠実な要素を料理しながらオリジナルのストーリーを展開する妙。

私が一番共感したのは、「炯眼隊」の面々が「別に戦史ネタでは繋がっていない」ことでした。

のびのびと魅力的に、凶暴に、ミステリアスに、時に寂しげに描かれる彼女達を見ていると、ともすればやれギミックだ史実編成だと自縄自縛を通り越して海老反り亀甲縛りみたいになってる今の運営鎮守府よりよっぽど「艦これ」してるんじゃないか。そんな皮肉さえ感じてしまいます。

私如きが宣伝するまでもありませんが、多くの方に読まれて欲しい一冊でした。



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