ウラシマなGUN整備記(4)
さて、それではギアの調整。
複数のギアが組み合わされた電動ガンのメカでは、そのアガキ(遊び)とアタリ(噛み合い)の調整は非常に重要です。これがまともにできないなら、最初から弄らない方がいい。
アガキの調整は、軸にシムと呼ばれる決まった厚さのワッシャを挟むことで行います。製造時の公差や個体差を考えると、こればかりは現物合わせで調整するしかありません。
まずはモーターに一番近いベベルギアから。まずはケースにベベルギアだけをセットし、ケースのネジを全て締めてから(締め付けによって僅かに軸受けとギアの距離が変化するため)ピンセットでギアを軸受け方向に動かしてみて、アガキ(遊び)をチェックします。アガキが大きいようならシムを追加しますが、アガキが全くないのも問題。今回は0.05~0.1mm程度のアガキを持つように調整します。
さて、ベベルギアはモーターの軸と直交して回転の方向を変えるため、モーター側のピニオンギアとのアタリを調整しなければなりません。
調整方法として、実際にモーターとギアを回しながら、モーター位置調整用のイモネジを回して音を聴く、というものがあります。最後の詰めにはいいのですが、最初からは実施しない方が良いでしょう。
この部分の噛み合わせ自体はモーターの位置とベベルギアの位置(シム厚と配分)という二つの要素からなります。音を聴く方法ではモーター位置しか調整できないため、シムの微調整に対応できません(いくらモーター位置を弄っても、ベベルギアの位置が悪くては意味がない)。また、異音=磨耗・欠損であり、濫用すればそれが進行します。
そこで、車のデフ交換などで行われる、光明丹を使ったアタリの確認方法を応用します。光明丹などと言わずとも、濃淡を見分けやすい鮮やかな色が出れば良く、クレヨンやインク、朱肉や口紅といったものでも代用できます(女性の口紅を無断で拝借してバレた際の責任は取りかねますが(笑))。
ベベルギアの歯数枚にたっぷりと塗り、モーター共々組み込んで数回転させます。通電させるより、残りのギアも全て組み込み(ここでは回りさえすれば良し)、セクターギアを指で回してやった方が良いでしょう。取り外すと、ピニオンギアの当たった部分の色は薄くなっており、他の歯にも、一度ピニオンギアに付着した色が付きます。このアタリが歯の中心に出るように調整するわけです。(ベベルギアの歯に対して)縦方向の噛み合わせが浅かったり深かったりする場合はシム調整で、横方向の噛み合わせはモーター位置で調整します。
最後に、実際にモーターを動かし、音を聴きながらイモネジの位置を微調整します。調整ができたらその位置でネジを固定できるよう、予めネジロック剤をイモネジに塗った状態で行います。
残るスパーギア、セクターギアの調整も同様に(ただし、モーターとの接続は不要)行います。こちらはシム調整のみなので、アガキと隣のギアとのアタリを確かめながらシムを入れ替えていきます。今回の結果はこうなりましたが、他の個体とは異なるでしょう。
ベベルギア:上なし、下0.2mm未満(0.2mmシムをペーパーで研磨して合わせ)
スパーギア:上なし、下0.2mm
セクターギア:上0.3mm、下0.2mm×2
今回はケースがしっかりと締め付けられてタイトになっているせいか、シムは標準的な設定例に比べて薄く、少なくなっています。
セクターギアまで調整できたら、総仕上げとしてブレークイン(慣らし)を行います。ギアにグリスをたっぷり(本番通りか多少多めに)塗って組み上げ、モーターに通電して回転させます。この際、ギアが異音を立てたりしていないか注意して聴いておきます。ガリガリという異音がすればアタリが浅いかアガキ過多、キュルキュルという摩擦音がすればピニオンギアの突っ込み過ぎやアガキ過少が考えられますので、再調整します。
慣らし時間はバッテリー一本分(ラージで十数分?)程度を単位として行っています。純正ギアなら一回でも十分かと思いますが、材質が強化されているカスタムギア、特にMIM処理だとか窒化処理されたりしているような硬いものはたっぷり数本分は必要でしょう。なお、連続回転させるとモーターが過熱するので、冷却しながら回すか、適当に休ませながら回していきます。手で触れないような温度になったら、無理して回さない方が無難。
ブレークイン後は、メカボックスを開けて内部を観察します。特に、ギアの側面やメカBOXに擦過痕が付いたりしていないか注意。グリスが描いた模様やグリス自体の汚れにも気を配ります(ただし、新品を慣らす場合は汚れは多めに出ますが)。
残るは、ピストンとシリンダ周り。