Nov.30, 2005

懐中時計の各部名称と簡単な説明

[アンティーク時計のある暮らし]

文章で説明するとき、それが何を指しているのか解らなければ意味が通じなくなるため、懐中時計の各部について、外装を中心に簡単な説明を書いておきます(機械内部の説明は別の機会、あるいは他の優良サイトに譲りたいと思います(笑))。

なお、ここでの名称が唯一絶対のものではなく、語源や言語の都合上(英語やフランス語それぞれに時計用語があったりするため)、同じ物に対して別の呼び方をすることがあるのでご注意下さい。

オープンフェイス、レバーセットの時計を例とした各部説明。
ペンダント
竜頭やボウを含む部分の総称です。
竜頭(ステム)
ゼンマイの巻上げ、時間合わせのほか、ハンターケースではケースの開閉にも使用します。人が直接触れ、押す、引く、回すと様々に動かす部分なので、時計の中でも磨耗が早い部分です。
ボウ
紐や鎖をかける環状の部品です。竜頭と並んで磨耗し易い部分です。
風防(ベゼル)
風防です。ほとんどの場合はガラスですが、プラスチックに交換されていることも。ハンターケースは蓋があるせいか、ガラスが薄いことが多いので気をつけましょう。
蓋(ハンター/デミハンターケースのみ)
ある意味最も懐中時計らしいイメージを喚起する蓋。竜頭を押し込むと開きます。ここで注意するべきは、閉じる時は必ず竜頭を押し込みながら閉めること。パチンと音を立てて閉めるのは一見格好良く見えますが、その裏側では鉄製のツメが金や銀の蓋を容赦なく削っています。永年これを繰り返すと、最悪の場合爪の掛かる場所が抉れて蓋が閉まらなくなります
裏蓋
風防の反対、機械を見るときに開ける蓋です。裏蓋の存在しないスイングアウトケースという方式もあります。
内蓋
防塵のために裏蓋の内側に設けられるもう一枚の蓋です。
エッジ
ケースの外周。「コインエッジ」など、装飾の表記などに用います。
リップ
開閉の手掛かりとして蓋や風防に設けられる張り出し部分です。多くの場合、ここを手掛かりに手でケースを開けることが出来ます。
スリット
開閉の手掛かりとして蓋や風防とケースの間に設けられる隙間です。隙間が小さい場合は道具を使って開閉します。
文字盤(ダイアル)
文字盤です。アンティーク時計の文字盤(特にカラーダイヤル、ファンシーダイヤルと呼ばれる多色で彩色されたもの)は破損し易いので要注意。
ただし、破損し易いといっても殆どの場合は分解組み立て時のミスによる破損であり、通常の使用中に突然割れるようなものではありません。必要以上に神経質になる必要はありませんが、落下させたりすればやはり割れます。注意しましょう。
針(ハンド)
様々な様式の針があります。
レバー(剣)
レバーを持つ時計の場合、時刻合わせの際、ベゼルを開けてこのレバーを引き出すことで竜頭と針が連動するようになります(レバーセット)。一見煩雑ですが、逆に言えば誤作動の可能性がないので、業務用である鉄道時計に用いられています。現行時計のように、竜頭を引っ張るだけで時刻合わせができるものをペンダントセットと呼びます。
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