Apr.04, 2008

桜に誘われて

[Diary]

なんとなく桜が見たくなったのでふらりと独り花見に出ることにした。この辺の自由度はさっすが特殊自営業よ喃w

当地の桜というと開花レースでは四国最速を競っていた時期もあったようだが、測候所がなくなってローカルネタに埋もれてしまった上、昨今の温暖化でどこもかしこも狂い咲きのようになっているので何か違う感じになってきている。実は満開にはまだ足りていないのだが、週末の天気が怪しいし人混みも嫌いなのでまずは今日出てみることに。

特に名所に心当たりはないので、近所の神社から始めてそこから桜伝いにぶらぶらすることにした。折角だし財布にちょうど45円入ってたので、神社にも参拝していくことにする。手水舎での作法は普通看板に書いてあるが、これら所作を一杯の水で(汲み直さず)行うことは意外と書かれていなかったりする。

神社の陰に咲く桜。

参拝して境内の桜を眺める。花曇りなどという洒落た空模様ではなく正真正銘の曇り空の下では、折角の桜も今ひとつコントラストが弱いかな。ついでに引いた御神籤は大吉とあったので先日の厳島の微妙極まりない中吉を更新することにしてジャケットの懐へ。

川沿いの桜並木は枝を川面に張り出していてなかなか趣がある。これで川が綺麗だったらいいのだが、自然の豊かさで売っている場所ではないのでもう一つ味が足りないかも。

川面に張り出す桜並木。何故か一本だけ柳。

途中で食料を調達しつつ運動公園のある山を目指す。桜園地以外にもそこここに桜の姿が見られ、街から遠目にもふわっとした風情が見て取れる本命の場所。ジャンクフードが冷める前に急げ急げと駆け上り、道端で枝振りの良さそうな桜を見つけると腰を下ろして花見弁当。

食べるだけ食べたら叢に背を預け、音楽など聴きながらのんびり桜の枝を眺める。アレンジやリミックスは安易にやってもイマイチだなぁ。原曲の出来が良い場合は特に。粗製濫造するとロクなことがないので、アレンジであってもやはりリマスターは必要だと思うぞ。

ふぁらっ、としたえもいわれぬ感覚が右手を走り抜けたのは突然のこと。

見ると、散った桜の花弁が風に乗って右手の甲を撫でたようだ。その瑞々しさと軽さ、滑らかさと微風の流れの生み出した感触の何と優しいことか。穏やかな気持ちで並木を眺めると、目の前の道をゆったりと通り過ぎる車達。やはり桜並木を愛でているのか、その速度はひどくゆっくりと、一台、二台、三台、四台……なんかえらい数だなおい。しかもどれもこれもデイサービスセンターとか特養とかその手の介護施設の名前がペイントされている。花見かと思ったらそうでもなく、停車もせずに脇道で車を回すともと来た道を逆戻り。なんか今、日本の社会のものすごくどんよりした一面が目の前を通過していった気が。台無しだ!

気を取り直してあらためてカメラを片手に桜を見上げると、花に誘われるように飛ぶ虫の姿。ミツバチかなと思って撮ってみたら……

蝿のコマネチ(死 五秒前)。

……蝿じゃねェか(怒)

靴に留まったコマネチを見つめるキレネンコのような目で数秒見つめていると、

……ぱく。

計ったような間で横から飛んできたヒヨドリが蝿を咥えて飛び去っていった。誰がうまいことやれと云ったヒヨちゃん(今命名)!

なんとも微妙な気分のまま頂上の運動公園まで登り、桜の枝越しに街を一望。この街を制圧するならやはりここは押さえねばならんな。……何で今まで城も砦も建ってなかったんだろここ。

帰路を山の反対側に取り、自転車で葛籠折れを駆け下りる。山の中腹、道の下に植えられた桜の梢が丁度足下から頭の上まで張り出す格好で、まさに目の前を一面の桜が流れていく。アップテンポな曲に乗って全身で桜の中を走り抜けるような感覚は思わず声を上げそうになる楽しさ。

人間目線な桜の梢。立ち止まって触れるのも悪くないが…

そのままの勢いで駆け下りると、住宅街にぽつぽつと点在する桜の木など横目にちょっと寄り道。この辺で最大、しかもNAMCOプロデュースとか書いている割には絆の一セットも置いていないヘボい店だが、太鼓の達人は11になっていたので実に悪魔的な新曲を一回叩いてみた。しかし周囲が喧しい上に1クレジット200円とか付けてやがったのでもう当分行かない。

ちと微妙な感じの花見ではあったが、まあそれなりに見るものはあったかな。

引いてきた御神籤を取り出そうとジャケットの懐に手を突っ込んだら、御神籤と一緒に桜の花弁が一枚出てきた。いつの間にやら。

ふと思いついてタンブラーにラガヴーリンの16年を注ぐと、その花弁を浮かべて味わってみた。……強い強いと云われるアイラ・モルトのフィニッシュに、ほのかに甘い香りを感じたような気がしたのは心が甘う感じたのでございます。美とは強いものでございますな。

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